あの夏、どこまでも広がる青空の下、ブチャには子供たちが笑う声が響き渡っていた。
シャボン玉を楽しむ少女
キーウに落ちたミサイルを見守る市民
虐殺にあった市民を埋葬するブチャの神父
虐殺にあった市民の埋葬。普段ブチャの街でいっさい見かけない記者やジャーナリストが、ハエのように埋葬や死体を撮影しようと集まっていた。撮れ高がなくなると、彼らはすぐにいなくなった。わたしは、ブチャ取材で、ジャーナリストや記者に憤りを感じ、絶望した。わたしは、最後まで埋葬を見届け、名もなき死者たちに祈った。
ブチャの名もなき死者。身元不明の死体。彼らが、彼女たちにも、きっと帰りを待つ家族や友人がいるはずだ。わたしがブチャで出会った人たちのように、彼ら彼女たちも、生きていたのだ。だけれども、名もなき死体にされてしまった。わたしは、あなたたちが生きていたことを忘れない。あなたたちにも帰るべき場所や、待つ人たちがいることを絶対に忘れない。
ロシア兵に二人の息子との幸せな未来を奪われ、残された母。それでも彼女は、庭に花を植えていた。
拷問部屋でロシア兵に処刑された次男とロシア兵に撃たれて障害を負った長男
障害を負った息子がいつ家に帰ってきてもいいように鼻を世話する母
ロシア兵に3人の友人を処刑された男性。普段は陽気なはずのセルゲイは、「なぜロニャは死んだ?なぜなんだ?」そう、虚空に向かって問い続けていた。
娘と母を亡くした、死の通りの夫婦
息子が行方不明になった女性
息子が処刑された母
最愛の夫が射殺された女性
友人が射殺された女性
死の通りでブチャの虐殺を生き延びた4歳と2歳の少女
ブチャの死の通り、男性の家は爆撃で破壊された。「そんなカメラと、ペンでお前に何ができるんだ」、男性は、わたしにそう疑問を投げかけてきた。あのとき、わたしは何も答えることができなかった。今も、彼の問いにわたしは答えられないだろう。何もできないのかもしれない、それでも、わたしはあの夏のブチャを、わたしが出会った人たちの姿を、彼らの声を、伝えて行きたいと思う。
ロシア軍の侵攻により、瓦礫の山とかしたイルピン
家を破壊されたホストメルの家族
家を破壊されたイルピンのおばあさん
息子くらいの年代のロシア兵にレイプされた女性
家具店を爆撃で破壊されたオーナー
破壊された家具店を修理する授業員
占領下のイルピンでロシア兵と友達になった少年。知り合いの男性は処刑された
ブチャ中央広場の噴水が修理された日
満面の笑顔のブチャに住む少女
村をロシア兵に占領された人々
ロシア兵に撃たれて歩けなくなったリーザの父と失明したリーザの母。それでも、彼女たちは支え合い、笑い合っていた。彼らの生き様の、なんと強いことか。
ウクライナ独立記念日。戦利品の破壊されたロシアの戦車の展示
ウクライナ独立記念日。
ウクライナ独立記念日。戦車と市民
ブチャから逃れて難民と化した少女
ブチャから逃れて難民とかした親子
それでも、リーザは、彼女は笑って、子供たちと遊んでいた。障がいを負った両親を養うために、前へと、進むために。ブチャの悲劇を世界に忘れて欲しくないと、彼女は言っていた。
あの夏、いつもリーザはじけるような笑顔で笑っていた。リーザと遊ぶ子供たちも、心の底から楽しそうに、腹から声を出して笑っていた。リーザの笑顔はブチャの太陽だった。
イルピンの母の愛情
疎開させていた娘と再会したガリーナ
悲しみを背負い、前へと進むブチャの少女
夏の終わり、あの夏の最後にわたしが垣間見た”本当のブチャ”
